第5回「浮気相手への慰謝料請求VS夫(妻)への慰謝料請求」
まさか夫(妻)が隠れて浮気していたなんて…。突然、浮気が発覚した場合、夫(妻)はもちろん、その浮気相手も許せないことでしょう。そして、夫(妻)と浮気相手どちらに慰謝料を請求したらいいのか、迷う方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。そこで「弁護士が教える!浮気・不倫の慰謝料講座」第5回では、どちらに請求すると慰謝料を多く貰えるのかを一緒に考えていきましょう。
離婚しない場合と離婚する場合で、請求相手が違うってホント?
請求相手を考える際にポイントとなるのは、浮気の発覚後、離婚するか離婚しないかということです。では、その理由について順番にお話ししていきますね。
離婚しない場合
浮気をした夫(妻)に対して怒りはあっても「子どものことを考えるとすぐに離婚はできない」という方も大勢いらっしゃると思います。その場合は、まず浮気相手に慰謝料を請求することをおすすめします。
その理由は2つあります。一つは、夫(妻)に請求しても夫婦間でお金が移動しただけで、1円も得にならないからです。そしてもう一つは、精神的苦痛の賠償と自らが犯した過ちの重大さを相手に理解させ、夫(妻)との関係を断ち切らせることができるからです。交渉次第では、合意書で「二度と夫(妻)には連絡しない」と誓約させることも可能です。慰謝料を獲得できたら、夫婦でじっくり話し合い、子どものためにも関係を修復していきましょう。
離婚する場合
次に、浮気が原因で離婚する場合、「浮気をした夫(妻)に支払わせたい」、「浮気相手が絶対許せない!」など、どちらか一人に強い怒りを抱いているのなら話は別ですが、そうでない場合は、夫(妻)と浮気相手の両方に慰謝料を請求することをおすすめします。
その理由は、2人に請求することで、どちらか一人に請求するよりも高額の慰謝料を獲得できる場合があるからです。わかりやすいように具体例をあげてご説明しますね。
Aさんは、夫の浮気を知り、離婚することにしました。しかし、長年一緒に過ごした夫への慰謝料請求にはためらいがありました。そこで、離婚の原因を作った浮気相手に慰謝料300万円を請求しました。しかし、裁判で「夫は既婚者であることを隠していた」という相手方の主張が認められてしまい、その結果、慰謝料が100万円に減額されてしまいました。
どちらか一人にだけ請求していた場合は、このようなことが起こり得ます。ですが、2人に請求しておけば、今回の事例のように浮気相手が支払う慰謝料が100万円になってしまっても、夫が残り200万円を支払うことで、あなたは合計300万円の慰謝料を獲得できる可能性があります。
夫 (妻)、浮気相手の資産で請求する相手を決める場合もある!?
離婚する、しないという決断以外では、夫(妻)と浮気相手が、どれくらいの資産(お金)を持っているかも、請求相手を決める際に関係してきます。
たとえば、職場不倫に多い事例ですが、不倫相手が会社の社長など資産家の場合があります。このような場合は、不倫相手に慰謝料を請求したほうが、より高額の慰謝料を獲得できる可能性があります。また、慰謝料を獲得できたとしても、浮気相手の収入が不安定な場合は、予定どおりに支払ってもらえないという不安があります。
夫(妻)の収入はだいたい把握できると思いますが、浮気相手の収入はわからないことのほうが多いですよね。ご自身で相手の収入などを調べ、どちらに請求したほうがよいかを判断するには、大きな労力や知識が必要です。浮気や職場不倫の慰謝料請求で多くの経験と専門知識を持っている弁護士であれば、これまでの経験に基づいたアドバイスができるので、まずは相談してみることをおすすめします。
慰謝料を請求する相手について簡単にまとめてみると、以下のようになります。
- すぐに離婚しない場合は、浮気相手に慰謝料を請求しましょう
- 離婚をする場合は、夫(妻)と浮気相手の両方に慰謝料を請求しましょう
- 資産に応じて、夫(妻)または浮気相手に慰謝料を請求しましょう
浮気・不倫のトラブルは夫婦間の大きなできごとです。皆さまの慰謝料トラブルを解決するため、弁護士が強い味方になります。どうぞ、あなたのお悩みをご相談ください。
監修者情報

- 資格
- 弁護士
- 所属
- 東京弁護士会
- 出身大学
- 法政大学法学部、学習院大学法科大学院
私が弁護士を志したきっかけは、日常生活の中で時々、法的な問題に直面することがあったことです。法律というものは難解なものであると思われている側面が強いと思います。私も勉強するまでは、ちょっと近づきがたいものだと思っていました。しかし、弁護士となったからには、依頼者の方が何に悩んでいて何を求めているのかをしっかりと共有し、少しでも分かりやすく法的な問題点をご説明し、今後どのように問題解決に向けていくことが出来るのかを一緒に考えていきたいと思っております。